憲法改正の論議が、自民党を中心に行われています。

改正の目玉は9条。ついで緊急事態条項などが議論されているそうです。

9条に加憲するか、9条2項(戦力の不保持と交戦権の否認)を削除するかで議論はまとまってはいない模様です。
産経新聞の12月23日付けの報道でも、「平和の党」を標榜する公明党は2項削除論には強い警戒感を持っているようです。

ここでは、安倍首相が主張する9条加憲論に注目して説明します。

ちょっとここで9条の条文に注目してみましょう

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
1項は、戦争放棄の国民の不戦の決意を定めています。
2項は、戦力の不保持と国に対して戦争行為の禁止を命じています。
要するに、憲法9条は1項と2項の2つの条文で「戦争放棄」を宣言しています。平和憲法といわれるゆえんですね。
安倍首相の提案は、「1、2項を維持して自衛隊の存在を明記する」と自衛隊に関する条文を第3項として加えるというものです。
「災害活動でがんばる自衛隊の存在を憲法に書き込むだけだから問題ない」「自衛隊を書き込むだけだから、何も変わらない」という違憲や安倍首相による同旨の説明もあります。
しかし、法律の世界には、「後法優先の原理」というものが確立されています。
新しくできた条文は、古い条文に優先して適用されるようになります。
さて「後法優先の原理」とはどういうものでしょうか
法律と法律の内容が相互に矛盾・抵触する場合には、時間的に後に制定された法律が、時間的に先に制定された法律に対して、優先的に適用されること。(弁護士ドットコム https://www.bengo4.com/other/1146/1288/d_4978/
第3項に自衛隊に関する条文が設けられれば、自衛隊による武力の行使は可能になることを意味するということです。
戦争放棄を定めた憲法9条1項と2項が、新しくできる第3項によってかき消されて、9条の平和条項は完全に「有形無実」「空文化」してしまうということです。
2015年に定められた「安保法制=戦争法」の下では「集団的自衛権」のもとで、自衛隊がアメリカがシリアなどで行っている軍事作戦にもアメリカ軍を守ったり、アメリカ軍の手足となって参戦したりするなど、第3国が海外で行っている戦争に参戦できるようになってしまうということです。
ここでは触れませんが、集団的自衛権は自国守るための権利ではありません。あくまでも、同盟国を「自衛」の名目で守るためのものです。
また集団的自衛権が発動されない場合でも、政府は「自衛」の名目で、海外に殴りこんで武力を行使するようなこともできることになるなんてこともありえます。
安倍首相は、北朝鮮問題を口実に日本を戦争できる国にするよう9条改憲論を示しています。
しかし、現実に憲法9条が変わって日本が戦争できるようになれば、それがいかなる不幸を国民にもたらすのか。どれだけの自衛隊員が、アメリカや日本の首脳の利益のために死の恐怖にさらされることになるのか。
私たち日本国民は、もっと想像力をもって9条改憲論議に望まなければなりません。
9条の平和条項を死文化しようとする安倍首相や自民党の提案に対する確かな対案こそ、現行憲法9条です。
9条を生かして積極的外交で、アジアや世界の平和社会の実現を進めることこそ、安倍政権に対する確かな対案で、いま国際社会が日本に期待していることではないでしょうか。